かんざしとは、伝統的な日本髪を彩る髪飾りの総称です。起源は縄文時代に遡り、一本の尖った棒に呪術的な力を宿して魔を払う「髪刺し」が語源とされています。江戸時代に日本髪が発展したことで、身分や季節、既婚・未婚を表す重要なファッションアイテムへと進化しました。
現代の婚礼シーン(文金高島田など)では、櫛(くし)や笄(こうがい)と組み合わせた「花嫁髪飾り一式」として継承され、和装美に凛とした気品を添える重要な役割を果たしています。
主なポイント
魔除けのルーツ:尖った棒で邪気を払う古来の信仰が、現代の婚礼というハレの日の装いに生きています。
- 花嫁髪飾りの構成:
- 前櫛(まえぐし):前髪の付け根に差す半円形の櫛で、顔周りを華やかにします。
- 中挿し(笄・こうがい):髷(まげ)の根元を左右に貫く最も長い飾り棒です。
- 前挿し・後挿し:左右の鬢(びん)や髷の後ろに挿し、髪型に立体感を出します。
- 素材による格の違い:
- 季節を映す花かんざし:舞妓や七五三で使うつまみ細工は、月ごとの花(桜や紅葉など)を模して季節感を表現します。
- 耳かき状の意図:かんざしの端にある耳かき形状は、江戸時代の奢侈禁止令(贅沢禁止令)に対し、「これは耳かきであって贅沢品ではない」と言い逃れをするために作られたという説があります。
- 洋髪への応用:現代では夜会巻きやシニヨンなどの洋装アップスタイルに、一本差しやパール付きのU型かんざしを合わせるモダンなスタイルも定着しています。