アルカリ性とは、水溶液の性質を表すpH(ピーエイチ)の値が7より大きい状態のことです。美容の分野、特にヘアカラーパーマの領域においては、髪の表面を覆うキューティクルを開き、薬剤の成分を内部へ浸透させるために不可欠な性質として扱われます。

最大の特徴は、髪の構造を「緩めて広げる(膨潤・軟化)」力にあります。健康な髪や頭皮はpH4.5から5.5前後の「弱酸性」に保たれていますが、あえてアルカリ性の薬剤(pH9〜11程度)を作用させることで、髪の芯まで染料を届けたり、髪の結合を組み替えたりすることが可能になります。施術に必要である一方、髪のタンパク質を傷めやすいデリケートな性質でもあります。

主なポイント

  • 「キューティクルを開く」浸透のスイッチ
    硬く閉じているキューティクルを内側から押し広げる役割を持ちます。これにより、髪を痛めずにカラーの染料やパーマの第1剤をスムーズに芯まで行き渡らせることができます。
  • メラニン色素」を分解して明るくする
    ヘアカラー剤に含まれるアルカリ成分は、酸化剤と結びつくことで髪の内部にあるメラニン色素を分解(脱色)します。髪のトーンを上げて鮮やかな発色を楽しむための土台を作ります。
  • 「タンパク質の流出」というダメージリスク
    アルカリに傾いた髪は、キューティクルが開いたまま無防備な状態になります。この隙間から髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)や水分が逃げ出しやすくなるため、パサつきや枝毛の原因となります。
  • 「残留アルカリ」による慢性的な傷み
    施術が終わった後も、髪の内部にアルカリ成分が残ってしまうことがあります。これを放置すると、日々のシャンプー紫外線によって少しずつダメージが進行するため、サロンでは専用の処理剤(バッファー剤)を用いて髪を優しく弱酸性へと戻す「アルカリ中和」が行われます。
  • 「弱酸性ケア」による引き締め
    髪を本来の弱酸性へと戻すことで、開いていたキューティクルがキュッと引き締まります。内部に補給した栄養や色味をしっかりと閉じ込め、手触りの良い滑らかなツヤ髪を維持することに繋がります。
  • 「日常のアイテム」でのバランス
    汚れをしっかり落とす石鹸や一部のシャンプーには、アルカリ性のものもあります。洗った後に弱酸性のトリートメントコンディショナーを重ねることで、髪のpHバランスを適切な状態に整えることができます。