ボツリヌスとは、ボツリヌス菌が作り出すタンパク質(ボツリヌストキシン)を高度に精製した製剤、およびそれを用いた美容医療の注入治療のことです。

最大の特徴は、筋肉を動かす神経の命令を一時的に遮断し、過剰な緊張を緩める「筋弛緩(きんしかん)作用」にあります。顔の筋肉が強く収縮することで生まれる「表情ジワ」を目立たなくしたり、発達しすぎた筋肉を休ませてボリュームを削いだりする治療として、世界中の美容医療現場で最も広く普及している手法の一つです。

主なポイント

  • 「表情ジワ」を刻ませないためのリラックス効果
    額、眉間目尻など、顔を動かしたときにできるシワの真下にある表情筋に注入します。筋肉の動きがマイルドになることで、皮膚に折れグセがつくのを防ぎ、すでに深く刻まれつつあるシワも自然に滑らかへと整えます。
  • エラ張り」を抑えて輪郭をシャープ
    歯ぎしりや食いしばりなどで硬くなったエラの筋肉(咬筋)に注入すると、使われなくなった筋肉が徐々に小さくなっていきます。これにより、骨を削ることなくフェイスラインを引き締め、すっきりとした顔立ちに導くことが可能です。
  • 肩こりや脚のライン」へのボディケア
    顔だけでなく、盛り上がった肩の筋肉をほぐして首を長く見せたり、ふくらはぎの筋肉を縮めて脚のラインを細く整えたりする治療にも使われます。また、交感神経をブロックする働きを利用して、ワキなどの多汗症治療にも高い効果を発揮します。
  • ボトックス」という名称との関係
    広く知られている「ボトックス」という言葉は、アメリカのアラガン社が製造しているボツリヌス製剤の登録商標です。現在では、他社製の製剤を使った治療も含めて、このタイプの注入施術全般を指す一般名詞のように使われています。
  • 「数分で終わる」手軽さと持続期間
    極細の針で注射するだけの施術であるため、数分程度で終了し、日常生活への影響(ダウンタイム)が非常に少ないのが利点です。注入後2〜3日で効果が現れ始め、通常は4ヶ月から6ヶ月ほど効果が持続します。
  • 「やりすぎ」による違和感への配慮
    注入する量や位置が適切でないと、まぶたが重くなったり、笑ったときに表情が不自然に固まったりすることがあります。効果が切れるとともに元の状態へ戻りますが、安全に理想の仕上がりを得るためには、顔の解剖学に精通した専門医のもとで受けることが不可欠です。