女房装束(にょうぼうしょうぞく)とは、平安時代以降、宮中や貴族社会に仕えた女房たちが着用した正式な装束です。現代では、女房装束を代表する姿として「十二単(じゅうにひとえ)」が広く知られています。

複数の衣を重ねて着るのが特徴で、「単(ひとえ)」「五衣(いつつぎぬ)」「打衣(うちぎぬ)」「表着(うわぎ)」「唐衣(からぎぬ)」「裳(も)」などを組み合わせて仕立てます。重ねた衣の色の組み合わせは「襲(かさね)の色目」と呼ばれ、季節の草花や自然の情景を色で表現する、平安時代の美意識の一つとして発展しました。

現在では、皇室行事や伝統行事、歴史の再現などで見ることができ、日本の伝統的な装束文化を伝える衣装として受け継がれています。

主なポイント

  • 部屋を与えられた女性にちなむ語源
    「女房」という呼び名は、宮中で仕える女性たちに個室として「房(へや)」が与えられたことに由来するとされています。女房装束という名称も、こうした宮廷に仕えた女性たちが着用した装束を指す言葉として使われるようになりました。当時の宮廷生活や身分、立場を知るうえでも興味深い名称です。
  • 重ねた衣の色で季節を表現
    単(ひとえ)、五衣(いつつぎぬ)、打衣(うちぎぬ)、表着(うわぎ)、唐衣(からぎぬ)、裳(も)などを重ねて着る装束で、衣の重なりから見える色の組み合わせを「襲(かさね)の色目」と呼びます。季節の草花や自然の情景を色で表現し、着用者の品位や教養を示すものとしても重視されました。
  • 重ねた衣を美しく整える着付け
    女房装束は何枚もの衣を重ねて着るため、それぞれの衣の位置や見える分量を整えながら、全体の形を美しく仕上げる着付けの技術が求められます。表から見える衣だけでなく、内側の紐や着付けの方法も使って装束を安定させ、着用者の動きに合わせて形を整えていました。
  • 大垂髪と合わせる宮廷の装い
    平安時代の女性に見られた髪型「大垂髪(おすべらかし)」は、女房装束などの伝統的な装いと合わせて用いられてきました。現在でも婚礼衣装や皇室の儀式などで、こうした髪型と装束を組み合わせた伝統的な姿を見ることができます。