洋髪とは、西洋風の技術やデザインを取り入れた髪型、およびヘアアレンジ全体の総称です。日本の伝統的な結髪技術である「日本髪(本結い)」の対義語として用いられ、現代の美容室サロンで行われるヘアセットメニューの大部分がこの領域に該当します。

最大の特徴は、カツラや重い鬢付け油を使用せず、施術者独自のアイロンワークやコテによるベース巻き、ワックスヘアスプレー逆毛などの「洋髪の技法」を用いて、顧客自身の地毛(自髪)を最大限に活かす点にあります。編み込みや波ウェーブといった現代的な動きを取り入れることで、髪質をふんわりと柔らかく見せ、軽やかな空気感(エアリー感)を表現できます。ウエディングドレスやカラードレスといった洋装に完璧に調和するのはもちろん、近年では成人式の振袖や婚礼の白無垢色打掛といった和装着物)にあえて洋髪のアップスタイルを合わせるスタイリングも広く定着しており、個人の骨格や雰囲気に合わせたオーダーメイドの「似合わせ」と自由なヘアアクセサリーの選定を可能にする、現代美容の中核をなすヘアスタイルです。

主なポイント

  • 「地毛の柔軟性」を活かした肉体的負担の軽減
    カツラや元結(紐)で強く縛り上げる本結いの日本髪と比較して、洋髪はゴムやヘアピンを用いたクッション性の高い固定力(ピニング)を基本とするため、頭皮への過度な締め付けや重量による肉体的負担が著しく少ないのが利点です。髪が細くてボリュームが出にくい細毛・軟毛の方であっても、内側に軽い逆毛を立てたり部分的なあんこ(詰め物)を仕込んだりすることで、自力で豊かな量感を演出できます。
  • シニヨン」による和洋を問わない万能なシルエット
    洋髪のアップスタイルの中で最も高い人気を誇るのが、低い位置で髪を一つにまとめるシニヨンです。首元やおくれ毛の境界線をスッキリと露出させることで、ドレスのデコルテラインを美しく見せるだけでなく、和装特有の襟足衣紋)の抜き加減とも完璧に調和するため、一回の結婚式(ブライダル)の中で和装から洋装へとお色直しを行う際にも、髪型を大きく変えずに対応できる高い汎用性を持っています。
  • 「編み込み・波ウェーブ」が創る優しい抜け感と立体感
    コテやストレートアイロンを交互に反転させて作る波ウェーブの凹凸や、表編み・裏編みの編み込みを組み合わせることで、平面的な髪型に豊かな立体感(奥行き)が生まれます。きっちりと固めすぎずに指先で毛束を数ミリずつ引き出して緩めることで、頑張りすぎないお洒落な雰囲気(こなれ感)や、大人の女性にふさわしい洗練された「優しい抜け感」のあるスタイルが完成します。
  • 「多彩なヘアアクセサリー」との抜群の親和性
    洋風の装飾品と非常に相性が良く、ドレスに合わせるティアラやビジュー、クリスタルといったきらびやかなアイテムから、和装に合わせる大ぶりの生花、ドライフラワー、つまみ細工、レース素材のリボン、パールのポニーフックに至るまで、TPOやドレスコードに応じた自由な世界観を頭部に表現することができます。
  • パーソナルカラー」の色彩を際立たせる髪色の自由度
    黒髪を前提とする日本髪とは異なり、自身のパーソナルカラーに合致した多様な色彩の髪色と調和します。イエローベースイエベ)であればマロンベージュオレンジベージュハニーブロンドといったウォームトーンを合わせて健康的な多幸感を高め、ブルーベースブルベ)であればラベンダーアッシュアッシュグレーなどの寒色系を用いて、肌の透明感を際立たせるシックで大人っぽい佇まいを最大化させます。
  • 「事前プレケア」による日中の乾燥とパサつきの遮断
    洋髪のふんわりとした「シフォン」のような質感を1日中キープするためには、事前の適切な水分・油分バランスの調整(プレケア)が必要です。洗髪後に髪の強度を補うトリートメントコンディショナーを施し、植物性のアーモンドオイル等を中間から毛先になじませてからアイロンを通すことで、熱による過乾燥つっぱり感を防ぎ、光を綺麗に正反射させる圧倒的なツヤ感を毛先まで維持することができます。