疎水性とは、水分子となじみにくく、水を弾く性質のことです。水と結びつきやすい「親水性」とは反対の性質です。
この性質は特に毛髪科学において重要で、髪の健康状態を見極める指標のひとつとされています。健康な髪は表面が18-MEAなどの脂質で覆われており、適度に水を弾く「疎水性」の状態を保っています。この状態では、湿気による広がりやうねりが起こりにくく、乾燥もスムーズに進みやすいのが特徴です。
一方で、カラーやパーマ、熱や摩擦などによってキューティクルや脂質が損傷すると、髪は水を吸いやすい「親水性」に傾きます。この状態では水分を過剰に含みやすくなるため乾きにくくなり、乾いた後には水分が逃げやすくなることで、パサつきや広がりが起こりやすくなります。
そのため近年のヘアケアでは、失われたタンパク質や脂質を補い、髪を本来の疎水性に近い状態へ戻す「髪質改善」や「疎水化トリートメント」が重要視されています。
主なポイント
- 疎水性の定義
疎水性とは、水分子と結びつきにくく、水を弾く性質のことです。この性質は、髪や肌が外部の水分や刺激から内部を守るためのバリア機能と深く関係しており、健康な状態を保つうえで重要な物理的特性とされています。 - 18-MEAによる水を弾く働き
疎水性は、健康な髪の状態を理解するうえで重要な性質です。健康な毛髪の最外層は、18-MEAと呼ばれる脂質で薄くコーティングされており、水を弾くバリアのような役割を持っています。この状態では、外部の余分な水分や湿気の吸収が抑えられ、髪の内部構造が安定しやすくなります。その結果、雨の日でも広がりやうねりが起こりにくく、洗髪後のドライ時間も短くなるなど、扱いやすい髪質が維持されやすくなります。 - ダメージに伴う親水性への変化と乾きにくさ
親水性は、髪のダメージ状態を示す重要な変化です。カラーやパーマなどのケミカル施術、あるいは熱や摩擦によってキューティクルが損傷すると、髪は本来のバリア構造を失い、水を弾く性質(疎水性)が低下します。その結果、髪は水を過剰に吸い込みやすい状態へと傾きます。この状態では、内部に水分を多く抱え込むため一見しっとりしていても、芯まで乾きにくくなります。さらに乾燥が進むと水分が急激に失われやすくなり、パサつきや広がりが目立つ原因になります。 - 髪質改善と疎水化のアプローチ
疎水性を回復させる「疎水化」は、ダメージを受けた髪を健やかな状態へ近づけるための考え方です。親水性に傾いたダメージ毛は、水を過剰に吸い込みやすく、乾燥やパサつきが起こりやすい状態になっています。そこで行われる髪質改善では、髪の構成に近いタンパク質や脂質を補給し、内部と外側のバランスを整えます。これにより、失われたバリア構造が補われ、水を弾く性質が徐々に回復していきます。その結果、髪の水分環境が安定し、しなやかでまとまりのある質感に近づいていきます。 - 水分バランスの安定によるツヤの維持
疎水性を保つことは、髪や肌のコンディション維持における基本的な考え方です。髪が適切な疎水性を保っている状態では、外部からの余分な水分を必要以上に吸い込みにくくなり、内部の水分バランスも安定しやすくなります。これにより、乾燥や湿気による広がりが抑えられ、ツヤのある質感が維持されやすくなります。日常的なトリートメントなどで保護膜や補修成分を補うことで、この状態をサポートしやすくなり、枝毛や切れ毛の発生を抑えながら、扱いやすい毛流れを保つことにつながります。

