肩山とは、主に着物(和装)における部位の名称のことであり、衣服を着用した際に身体の肩の一番高い部分に重なる折り山、または前身頃と後身頃が交わる最上部の境界線のことです。

最大の特徴は、着物の全体のシルエットや着姿の美しさをコントロールするための「位置の基準」および「寸法の基準」となる点にあります。着物を着る際、首の後ろ(うなじ)の部分を美しく見せるために後ろの衿を後ろに下げる「衣紋を抜く」という着付け技法を施します。そのため、正しく着付けを完了した状態においては、衣服の肩山は実際の身体の肩の頂点よりも、やや背中側(後ろ)に落ちるのが美しい着方であると位置づけられています。また、裄丈(背中側の首の付け根から手首のくるぶしまでの長さ)を測ったり仕立てたりする際にも、背中心(背中の縫い目の中央)からこの「肩山」を経由して袖口までの長さを計算するため、和装のトータルビューティーや格調高さを細部から支える極めて重要な基準点です。

主なポイント

  • 身体の肩の一番高い部分に重なる着物の折り山・境界線の定義
    和服の平面的な仕立てを立体的な身体へと同和させるための、最上部のラインを指します。前身頃と後身頃の切り替え部分(あるいは折り返し部分)にあたり、全体のウェイトバランスを司る構造を持っています。
  • 衣紋を抜くことで実際の肩の頂点よりもやや背中側へ落とす様式美
    着付けの手順において、肩山が配置されるべき適正なポジションです。衿の後ろをグッと引き下げる動きに連動して肩山も後ろ側へとスライドするため、首元に上品な垢抜け感や自然体の色香(色香)を宿らせます。
  • 背中心から肩山を経由して袖口へと至る、裄丈を算出する寸法の基準
    衣服を個人の体型に完璧に合わせるための、仕立て・採寸上の役割です。首の後ろの頸椎点から肩山を通り、手首のくるぶしが隠れる長さまでの毛流れならぬメジャーの流れを計算する際の、重要な中継地点として機能します。
  • 着姿のバランスを左右し、シワやたるみを防ぐフィニッシュポイント
    ヘアメイクを完了させた後の、全体のトータルコーディネートを引き締める役割です。肩山が左右対称(シンメトリー)に美しく乗っているかどうかが、和装特有の凛とした円筒形のシルエットを綺麗にキープする鍵となります。