脱毛症とは、髪の生え変わりのサイクル(毛周期)が乱れ、抜け毛が新しく生えてくる毛を上回ることで、毛髪が薄くなったり、一部または広い範囲で毛が失われたりする状態の総称です。
健康な人でも1日に50〜100本程度の抜け毛は自然に起こりますが、それを大きく超える抜け毛が続く場合や、細く短い毛が増えるなどの変化がみられる場合は、脱毛症が疑われます。
脱毛症にはさまざまな種類があり、男性ホルモンの影響を受けるAGA(男性型脱毛症)、女性に多くみられるびまん性脱毛症、免疫の異常によって毛根が攻撃される円形脱毛症などが代表的です。
加齢だけでなく、ストレスや栄養不足、ホルモンバランスの変化、自己免疫疾患、薬剤の影響など、体の内側で起きているさまざまな要因が関係することもあり、髪だけでなく健康状態を見直すきっかけとなる症状の一つです。
主なポイント
- 「毛周期(ヘアサイクル)」の短縮:
脱毛症では、本来2〜6年ほど続く髪の成長期が数か月程度まで短くなることがあります。その結果、髪が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまい、細く短い毛が増えやすくなります。この状態が続くことで、髪全体のボリュームが減り、地肌が透けて見えやすくなる原因につながります。 - 「円形脱毛症」の突発性:
円形脱毛症は、痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどないまま、ある日突然コイン状に髪が抜けることがある脱毛症です。精神的なストレスがきっかけとなる場合もありますが、現在では、免疫機能の異常によってリンパ球が毛根を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の一つと考えられています。発症のきっかけは人によって異なるため、症状が現れた場合は早めに皮膚科などの専門医へ相談することが大切です。 - 「AGA」と「FAGA」の進行パターン:
AGA(男性型脱毛症)は、生え際や頭頂部を中心に、部分的に薄毛が進行するのが特徴です。一方、FAGA(女性男性型脱毛症)は、分け目を中心に髪全体のボリュームが徐々に減少し、頭部全体の密度が低下していく傾向があります。同じ脱毛症でも進行の仕方には違いがあるため、それぞれの症状に合わせたケアや治療を選ぶことが大切です。 - 「牽引性(けんいんせい)脱毛症」:
牽引性脱毛症は、ポニーテールやお団子ヘア、エクステなどによって髪を長期間強く引っ張り続けることで、毛根へ負担がかかり、生え際や分け目を中心に薄毛が進行する脱毛症です。日常的なヘアスタイルや美容習慣が原因となるため、髪を強く結ぶ機会を減らしたり、髪や頭皮への負担を軽減したりすることが予防や改善につながります。 - 「脂漏性(しろうせい)脱毛症」:
脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌や皮脂バランスの乱れによって頭皮環境が悪化し、炎症を伴うことで起こる脱毛症です。皮脂が酸化すると、頭皮に存在するマラセチア菌が増殖しやすくなり、脂漏性皮膚炎を引き起こすことで毛根に負担を与える場合があります。頭皮のベタつきや赤み、かゆみ、フケなどを伴うことが多く、健やかな髪を育てるためには、頭皮環境を整えるケアが重要です。 - 医療機関でのアプローチ:
脱毛症の治療では、症状や原因に合わせて内服薬や外用薬、注入療法などを組み合わせたケアが行われます。代表的な治療薬として、発毛を促す作用が期待されるミノキシジルや、男性型脱毛症(AGA)における脱毛の進行を抑える目的で使用されるフィナステリドなどがあります。また、頭皮へ成長因子などの有効成分を直接届けるメソセラピー(注入療法)といった治療もあり、毛髪の状態や進行度に応じたアプローチが選択されます。

