脱色とは、髪の内部にあるメラニン色素を、ブリーチ剤を使って化学的に分解し、髪色を明るくする技術のことです。一般的には「ブリーチ」と呼ばれます。

ヘアカラーが髪に色素を加えて色味を変える「染色」を目的とするのに対し、脱色は髪に元々ある色素を取り除くことに特化した施術です。

アルカリ剤によってキューティクルを開き、過酸化水素などの酸化剤がメラニン色素を分解することで、黒髪をオレンジ、イエロー、さらに明るいブロンド系の色味へ変化させます。ミルクティーベージュや鮮やかなビビッドカラーなど、通常のカラー剤だけでは表現しにくい透明感のある発色を楽しむための土台作りとして欠かせない工程です。

一方で、脱色の過程ではメラニンだけでなく毛髪内部のタンパク質にも影響が及ぶため、髪への負担が大きい施術でもあります。施術後のトリートメントや適切なヘアケアによってダメージを補いながら、美しい発色と髪のコンディションを両立させることが重要です。

主なポイント

  • 「メラニン分解」のメカニズム:
    脱色では、まずアルカリ剤が髪を膨潤させてキューティクルを開き、薬剤が髪内部へ入りやすい状態を作ります。その後、酸化剤がメラニン色素を分解することで、髪本来の色を徐々に薄くしていきます。脱色の進み具合によって、髪色は黒から赤褐色、オレンジ、黄色、さらに明るい白金系のブロンドへと段階的に変化します。表現したいカラーに合わせて、必要な明るさまで色素を抜くことが重要です。
  • ハイトーンカラー」の土台作り:
    ハイトーンカラーでは、髪に残るメラニン色素をしっかり分解し、発色の邪魔になる赤み黄みを取り除くことが重要です。日本人の髪に多く含まれる赤みやオレンジ味を段階的に抜くことで、グレージュパステルカラーなど、淡く繊細な色味も美しく表現しやすくなります。理想のカラーを正確に発色させるためには、髪の状態や求める色に合わせた適切な脱色工程が欠かせません。
  • 「ダメージ」の影響:
    脱色の過程では、キューティクルへの負担や毛髪内部の成分流出が起こりやすく、髪内部が空洞化した「多孔質(たこうしつ)毛」になりやすい傾向があります。そのため、乾燥によるパサつきや切れ毛、カラーの色落ちが早くなる原因につながります。美しいハイトーンカラーを長く楽しむためには、髪の内部補修や保湿を意識した専用のホームケアを取り入れることが大切です。
  • 頭皮」への配慮:
    脱色剤は強い酸化反応を利用するため、頭皮に刺激を感じる場合があります。そのため、施術時には保護オイルを使用したり、根元部分を数ミリ空けて薬剤を塗布する「ゼロテク」と呼ばれる技法を取り入れたりすることで、地肌への負担を抑える工夫が行われます。髪の明るさだけでなく、頭皮の状態にも配慮しながら施術を進めることが大切です。
  • 「ケアブリーチ」の進化:
    近年では、ブリーチによるダメージを抑えるため、ジカルボン酸などの毛髪保護成分を配合した「ケアブリーチ」が広く使われるようになっています。これらの処理剤が髪内部の結合や水分バランスをサポートすることで、脱色による枝毛や切れ毛のリスクを軽減しながら、必要な明るさまで色を抜くことが可能になります。高発色なハイトーンカラーを楽しみながら、髪のコンディションも維持するための選択肢として、現在のブリーチ施術では欠かせない存在となっています。
  • 「セルフ脱色」のリスク:
    自分で行う脱色は、薬剤の塗布量や放置時間の調整が難しく、塗りムラがそのまま色の差や明るさの段差として残りやすい点に注意が必要です。一度できた色ムラは、後から均一に修正するのが難しく、髪への負担がさらに大きくなる場合もあります。均一なトーンアップと髪の状態を保つためには、髪質や部位ごとの状態を見極めながら薬剤を使い分ける、美容師による細かな塗り分けが重要です。