装束とは、主に有職(ゆうそく)美容において扱われる、公家や武家などの伝統的な装い(衣冠や十二単など)や、それらに合わせた伝統的な髪型(結髪)を含めた総合的な身支度のことです。単なる衣類を指す言葉ではなく、日本の伝統文化や儀式に深く結びついた衣装全般を意味します。

最大の特徴は、古来の朝廷や公家、武家の行事・風俗、伝統的な装束の知識を学び、着付けや結髪を行う専門の「有職美容師」によって執り行われる点にあります。有職美容においては、平安時代の貴族女性の正装であり、美しい色の組み合わせ(襲の色目)を楽しむ十二単(正式名称:唐衣裳装束)や、平安時代以降の公家男子の正装である「束帯」などの着付けが重要な技術の一つとされています。また、これらの装束を美しく見せるためにはふさわしい髪型(結髪)が不可欠であり、長く真っ直ぐな髪を後ろに垂らす平安時代の女性の髪型「大垂髪(おすべらかし)」や、江戸時代などの装束(武家の婚礼衣装など)に合わせて髪を結い上げ、かんざし等で飾る日本髪の伝統技術も、装束と一連のセットとして専門的に扱われます。

主なポイント

  • 公家や武家の伝統的な装いや髪型を含めた総合的な身支度の定義
    日本の歴史的・伝統的な儀式や文化に基づいた格調高い身なりの総称です。衣服の着付けから頭部の整えにいたるまで、すべての工程を包括したトータルビューティーの様式を指します。
  • 古来の行事や風俗の知識を学び着付けと結髪を行う有職美容師
    装束の技術を現代に継承する専門の美容職です。朝廷や武家社会における厳格な規則(有職故実)を深く理解し、時代考証に合致した正確な身支度を施す役割を担っています。
  • 美しい色の組み合わせである「襲の色目」を楽しむ十二単
    平安装束の代表格である唐衣裳装束(からぎぬもしょうぞく)の大きな特徴です。複数の衣を重ねることで、袖口や裾()から見える色の重なりを楽しみ、四季の自然や季節の移ろいを表現します。
  • 平安時代以降における公家男子の最も格式の高い正装である束帯
    男性用装束の中でも最高礼装に位置づけられる装いです。朝廷の儀式や重要な公的行事で着用され、日本の伝統的な男子装束を代表するものとして知られています。
  • 長く真っ直ぐな髪を後ろに垂らす平安時代の女性の髪型「大垂髪」
    十二単などの平安装束に合わせて用いられる伝統的な髪型です。髪を高く結い上げる日本髪とは異なり、長い髪を後ろへまっすぐ垂らし、その美しい髪の流れやを見せることを特徴としています。
  • 武家の婚礼衣装などの装束に合わせて髪を飾る日本髪の伝統技術
    江戸時代などの装束とともにセットで扱われる結髪技法です。衣服の持つ重厚な生地感や圧倒的なボリュームに負けないよう、髪の内側に詰め物を仕込んで品のある量感を出し、かんざし等で華やかに装飾します。