ダッカールとは、嘴(くちばし)のような細長い形状をした、髪を一時的に固定するためのヘアクリップです。アヒルの口(Duck bill)に似た形が名前の由来で、カットカラーパーマブローなど、美容施術のさまざまな場面で使用されています。

髪をしっかり固定できるホールド力を持ちながら、髪に跡がつきにくいよう工夫されているのが特徴です。プロ用のダッカールには、挟む部分にラバー素材や特殊な加工が施されているものもあり、髪への負担を抑えながら安定して固定できます。

また、ヘアアイロンやブローを行う際には、髪を上下や左右に分ける「ブロッキング」に使用することで、少しずつ丁寧に施術でき、仕上がりのムラを防ぎやすくなります。美容師だけでなく、自宅でヘアセットを行う際にも欠かせないヘアツールのひとつです。

主なポイント

  • 素材の組み合わせ:
    ダッカールは、下側にアルミ素材、上側に樹脂素材を組み合わせた構造のものが多く採用されています。アルミ部分は、髪の根元や頭皮の近くにも差し込みやすく、熱や薬剤の影響を受けにくいのが特徴です。一方、樹脂部分は軽量で扱いやすく、バネの力を適度に分散させることで、髪をしっかり固定しながらも余計な負担をかけにくい役割を果たします。
  • 「ブロッキング」の役割:
    髪を「サイド」「バック」「トップ」などのパーツごとに分け、ダッカールで固定することで、施術する範囲を明確にします。カットやカラー、パーマなどの工程で必要な部分だけを正確に扱えるようになり、作業のしやすさや仕上がりの均一性を高めるために欠かせない技術です。
  • 「ワニワニクリップ(ジョーズクリップ)」との違い:
    ダッカールは、細長く直線的な形状で、毛束を細かく分けてしっかり固定する作業に向いています。一方、ジョーズクリップは歯が噛み合うような構造になっており、厚みのある髪や毛量の多い部分をまとめて挟むのが得意です。カットやカラーなど、正確なブロッキングが必要な美容施術ではダッカール、まとめ髪や髪全体をざっくり留めたい場面ではジョーズクリップというように、用途に合わせて使い分けられています。
  • 「根元」で留める工夫:
    毛先を軽く丸めて根元近くで留めることで、髪の重みでダッカールがずり落ちるのを防ぎます。また、顔周りの髪をしっかり固定できるため、施術中の視界を確保し、作業をスムーズに進めることができます。
  • 「跡」を防ぐテクニック:
    前髪など、クセがつきやすい部分をダッカールで留める際は、クリップと髪の間にコットンやティッシュを1枚挟むことで、挟んだ跡が残るのを防げます。メイクスキンケア中に髪を固定したい場合でも、自然な状態を保ちながら邪魔な毛束だけをよけることができます。
  • 「ヘアセット」での活用:
    カールや巻き髪を作った後、髪の熱が冷めるまでダッカールで根元を立ち上げた状態で固定することで、ボリュームやカールの形をキープしやすくなります。根元の立ち上がりをキープしたいときや、ふんわりとしたヘアスタイルを作りたいときにも活用できるテクニックです。