おはしょりとは、女性が着物を着用する際、身丈(みたけ)の余った部分を腰の位置で折り返し、帯の下に一重(ひとえ)の層として整えた部分のことです。女性用の着物は、着る人の身長よりも約20〜30cm長く仕立てられており、この「余り」を腰紐でたくし上げて調整することで、一人ひとりの体型に合わせた完璧な裾(すそ)の長さを実現します。
歴史的には、江戸時代まで女性も室内では裾を引きずって歩く「引きずり」が一般的でしたが、明治時代に活動的な生活様式へと変化する中で、外出時の「端を折る(はしょる)」スタイルが着付けの標準として定着しました。おはしょりのラインが水平で、かつ厚みが均一に整っていることは、着物姿の清潔感と熟練度を象徴する、和装美の極めて重要なチェックポイントです。
主なポイント
- 丈の精密なコントロール: どんな身長の人でも、おはしょりの上げ下げによって、くるぶしが隠れる程度の「理想の着丈」に合わせることができる。
- 理想の長さは「指一本分」: 帯の下から出るおはしょりの幅は、人差し指の長さ(約7〜8cm)程度が最もバランスが良いとされる。これより長いと野暮ったく、短いと幼い印象になる。
- 「おはしょり芯」や「伊達締め」の活用: 下腹部のポッコリ感を抑え、おはしょりを平らに落ち着かせることで、帯周りをスッキリと細く見せる視覚効果がある。
- 男性との違い(内揚げ): 男性の着物は最初から対丈(ついたけ:身長に合わせた長さ)で仕立て、余りは内側に縫い込む「内揚げ」とするため、表におはしょりは出さないのが原則。
- 身八つ口(みやつぐち)との連動: 脇の開いた部分(身八つ口)から手を入れておはしょりを整える「おはしょり始末」は、着崩れを防ぐための必須技術。

