セニングカットとは、櫛状の刃を持つ専用のハサミ「セニングシザー(すきバサミ)」を用いて、髪の長さを変えずに「毛量」を減らし「質感」を調整する技法です。英語の Thinning(薄くする)が語源で、日本では一般的に「すく」と表現されます。毛束の中に短い髪を意図的に混在させることで、全体の厚みを取り除き、空気感や動きを生み出します。
最大の特徴は、ハサミを一回閉じるだけで、計算された割合(スキ率)の毛髪を均一に間引ける「正確性とスピード」にあります。スライドカットなどの手動の削ぎが職人的な感覚に頼るのに対し、セニングは「内側の膨らみだけを劇的に減らす」「毛先だけを自然に馴染ませる」といった作業を、再現性高くスピーディーに行えます。日本人に多い「多毛・剛毛・広がりやすい髪」を、コンパクトで扱いやすい美シルエットに導くための必須技術です。
主なポイント
- 「スキ率(%)」の使い分け:
- 10〜20%: 前髪や仕上げの微調整用。失敗が少なく、繊細な質感が作れる。
- 30〜40%: 毛量が多い後頭部などのベースカット用。一気にボリュームを落とせる。
- 「インナーセニング」の魔術: 髪の表面にはハサミを入れず、内側の根元付近を間引く技法。ツヤのある面を保ったまま、頭を一回り小さく見せる(小顔効果)ことができる。
- 「毛先の馴染ませ」: ブラントカット(直線切り)でできたガタつきや重いラインを、セニングでぼかすことで、手ぐしを通した時にスッと抜けるような「柔らかい毛先」を作る。
- 「セニングによるダメージ」の誤解: 切れ味の悪いセニングを使うと、断面がちぎれてパサつき(枝毛)の原因になる。高級なセニングほど、断面が鋭利で、時間が経ってもまとまりが持続する。
- 「入れすぎ」の弊害: 根元からすきすぎると、短い毛がツンツンと表面に飛び出したり、毛先がスカスカになりすぎて「まとまらない・ハネる」原因になる。
- 「くせ毛」との相性: くせ毛を闇雲にすくと、軽くなった髪が余計に暴れて広がる。くせの収まる位置を見極めて「隙間」を作る高度な判断がプロの腕の見せ所。

