第1剤とは、パーマや縮毛矯正の施術において、最初に髪に塗布する薬剤のことです。最大の役割は、髪の強固な骨組みである「シスチン結合(S-S結合)」を化学的に切断し、髪を「軟化(なんか)」させることにあります。これにより、硬い髪が一時的にゴムのように柔らかくなり、ロッドの形やアイロンの熱に合わせて形状を自由に変えられる状態(=工事が可能な更地)になります。
主成分は、結合を切る「還元剤(チオグリコール酸やシステインなど)」と、キューティクルを開いて浸透を助ける「アルカリ剤(アンモニアなど)」です。この1剤の反応が不十分だとパーマがかからず、逆に行き過ぎると髪のタンパク質が溶け出す「過膨潤(かぼうじゅん)」を招き、チリつきや断毛の原因となります。美容師が数分おきに髪の伸び具合を確認する「テストカール」は、この1剤のベストな反応タイミングを見極めるための、最も神経を使う工程です。
主なポイント
- 「還元(かんげん)」のプロセス: 髪に水素を与えて結合を切り離す化学反応。この「結合を切る力」の強さが、パーマの持ちやダメージの程度を左右する。
- 「アルカリ剤」の功罪:
- 「軟化テスト」の重要性: 毛束を指に巻き付けたり、1本引っぱって伸びを確認したりする作業。1剤を流すタイミングを1分誤るだけで、仕上がりの質感に大きな差が出る。
- 「放置時間」のコントロール: 髪質(硬毛・軟毛)やダメージ履歴に合わせて、5分〜20分程度の間で厳密に管理される。
- 「中間水洗」への橋渡し: 1剤の役割が終わったら、2剤を塗る前に一度お湯でしっかりと1剤を洗い流す(中間水洗)。これにより、2剤の酸化反応を均一にし、ダメージを抑制する。
- 独特の「硫黄臭」: 1剤に含まれる還元剤特有の匂い。近年はマスキング技術により軽減されているが、この匂いが残る間は髪内部で反応が続いている目安にもなる。

