脱毛症とは、髪の生え変わりのサイクル(毛周期)が乱れ、抜け毛の数が新生する毛の数を上回ることで、毛髪が薄くなったり、局所的に消失したりする状態の総称です。健康な人でも1日に100本程度の抜け毛はありますが、それを大きく超える場合や、抜けた毛の根元が細く尖っている「異常脱毛」が見られる場合に診断されます。

その種類は多岐にわたり、男性ホルモンが関与する「AGA(男性型脱毛症)」、更年期や休止期の影響で全体的に薄くなる女性特有の「びまん性脱毛症」、そして免疫細胞が自分の毛根を誤って攻撃してしまう「円形脱毛症」などが代表的です。単なる加齢現象だけでなく、ストレス、栄養不足、自己免疫疾患、あるいは薬の副作用など、身体の内部環境が「髪を作る工場」に異変をきたしているサインでもあります。

主なポイント

  • 「毛周期(ヘアサイクル)」の短縮: 通常2〜6年ある成長期が数ヶ月に短縮されることで、毛が太く育つ前に抜けてしまい、産毛のような細い毛ばかりが目立つようになる。
  • 「円形脱毛症」の突発性: 痛みも痒みもなく、ある日突然コイン状に髪が抜ける。ストレスが引き金になることが多いが、本質はリンパ球による自己免疫のパニック現象である。
  • 「AGA」と「FAGA」のパターン:
    • 男性(AGA): 生え際や頭頂部から局所的に進行する。
    • 女性(FAGA): 分け目を中心に、頭部全体の密度が均一に低下する。
  • 「牽引性(けんいんせい)脱毛症」: ポニーテールエクステなどで、常に髪を強く引っ張り続けることで毛根がダメージを受け、生え際が後退する。美容習慣による物理的な脱毛。
  • 脂漏性(しろうせい)脱毛症」: 過剰な皮脂酸化し、マラセチア菌が増殖して炎症(脂漏性皮膚炎)を起こすことで毛根を傷める。頭皮のベタつきやフケを伴うのが特徴。
  • 医療機関でのアプローチ:
    • 内服・外用薬: 発毛を促すミノキシジルや、脱毛シグナルを止めるフィナステリドなど。
    • 注入療法: 成長因子を直接頭皮に届けるメソセラピーなど。