過酸化水素とは、ヘアカラー、ブリーチ、パーマの施術において「2剤(オキシドール)」として使用される強力な酸化剤・漂白剤です。
美容現場では「オキシ」や「過水(かすい)」の俗称で呼ばれ、髪のメラニン色素を分解して明るくしたり、酸化重合によって染料を発色・定着させたりする不可欠な役割を担います。
最大の特徴は、「諸刃の剣(もろはのつるぎ)としての反応性」にあります。理想の色や形状を作るために必須の成分ですが、非常に強力な「活性酸素」の一種であるため、髪や頭皮に残留するとタンパク質や脂質を酸化させ、深刻なダメージを引き起こします。特に、毛根にあるメラノサイト(髪の色を作る細胞)を攻撃し、「白髪」の原因物質となるリスクが指摘されています。施術後にシャンプーだけで済ませず、化学的に中和・除去する「アフター処理」を行うことが、10年後の髪と地肌の若々しさを守るための絶対条件です。
主なポイント
- 「2剤」の化学反応:
- カラー: 1剤のアルカリ剤と混ざることで酸素を発生させ、メラニンを脱色しながら色素を結びつける。
- パーマ: 1剤で切断された髪の結合(シスチン結合)を再結合させ、形を固定(酸化固定)する。
- 「濃度(%)」による強度調整:
- 6%: 日本の法律上の上限。高い脱色力を持ち、明るく染める際に使用。
- 1.5〜3%: 既染部(すでに染まっている部分)の色を整えるなど、ダメージを抑えたい時に選択。
- 「残留アルカリ」との負の連鎖:
- 宿命: 過酸化水素はアルカリ環境下で活性化する。髪にアルカリが残っていると、帰宅後も髪内部で酸化反応が続き、数日かけてパサつきや断毛を進行させる。
- 「白髪・抜け毛」の誘発:
- リスク: 残留した過酸化水素が皮脂と反応して「過酸化脂質」に変化。これが毛包にダメージを与え、白髪の増加や薄毛を招く要因となる。
- 「カタラーゼ・SOD」による分解除去:
- 対策: 施術直後に酵素(カタラーゼ等)を含む処理剤を使用。過酸化水素を「水と酸素」に無害化して分解し、ダメージの源を物理的に消し去るのがプロの鉄則。
- 「活性酸素」の蓄積防止:
- 戦略: 酸化ストレスを最小限にするため、施術前後に抗酸化成分(ヘマチンやプラチナ等)を補給し、髪の「サビ」を未然に防ぐ。
- 「セルフカラー」の危険性:
- 注意: 市販品は誰でも染まるよう高濃度(6%に近い)設定が多い。適切な中和処理が難しいため、サロンケア以上に残留ダメージが深刻化しやすい。

