pH(ペーハー/ピーエイチ)とは、水溶液の性質が「酸性」か「アルカリ性」かを示す尺度で、0から14までの数値で表されます。中心の7を「中性」とし、数値が小さくなるほど酸性が強く、大きくなるほどアルカリ性が強くなります。美容業界においてpH管理は極めて重要であり、「毛髪や肌の健康状態を左右する最大の指標」となります。
最大の特徴は、毛髪や皮膚の表面が通常pH4.5〜5.5の「弱酸性」で最も安定するという点にあります。この数値を「等電点(とうでんてん)」と呼び、バリア機能が正常に働きます。一方で、ヘアカラーやパーマ剤の多くは、あえて「アルカリ性」に振ることでキューティクルを膨潤させてこじ開け、内部に薬剤を浸透させます。しかし、アルカリに傾いたまま放置するとタンパク質が流出し、深刻なダメージを招くため、施術後に速やかに弱酸性へと戻す「pHコントロール(等電点への回帰)」が、プロの技術の根幹を支えています。
主なポイント
- 「等電点(とうでんてん)」の安定: pH4.5〜5.5の弱酸性時、髪のケラチンタンパク質の結合が最も強固になり、ツヤと弾力が維持される。
- 「キューティクル」の開閉スイッチ:
- アルカリ性: キューティクルを開き、薬剤を内部へ導く(カラー・パーマ)。
- 酸性: キューティクルをギュッと引き締め(収斂)、手触りを滑らかにする(リンス・トリートメント)。
- 「残留アルカリ」の恐怖: 施術後にアルカリ成分が髪に残ると、日々のシャンプーのたびにキューティクルが開き、染料や栄養が流れ出す「退色とダメージの連鎖」が起きる。
- 「スキンケア」のバリア機能: 肌がアルカリ性に傾くと、悪玉菌が繁殖しやすくなり、ニキビや肌荒れの原因に。弱酸性をキープすることが美肌の基本。
- 「ヘアマニキュア」の酸性領域: 髪を傷めにくい酸性カラーは、pHを酸側に寄せることでキューティクルを壊さず表面に色を定着させる。
- 「バッファー剤」による中和: アルカリ施術の直後に、酸性の処理剤を用いてpHを強制的に戻す工程。これがサロン帰りの手触りを長持ちさせる「プロの隠し技」。

